【支援ツール】読みやすさマッチング表 - 無料ダウンロード
- 楽々かあさん(大場美鈴)🇯🇵

- 10月9日
- 読了時間: 7分
更新日:11月12日
■「読みやすさマッチング表」を公開しました
LD(学習障害/学習症)がある子をはじめ、発達障害のある子の参考書・問題集選びや、合理的配慮をお願いする際の説明資料、先生方のテスト・プリントのUD化の参考などに使える一覧表です。フォント・口調・行間・ルビ/アイコンの有無を組み合わせて比較できます。(文末より無料ダウンロードできます)
よく、LDがある子は「明朝体のフォント(書体)は読みづらい」と聞きますが、一般的な明朝体は線の太さが一定ではなく、特にトメ・ハネ・ハライの尖った三角部分や濁点などは認識しづらくて、誤読しやすい傾向があるようです。
ややLD傾向があった長男も、小学校低学年の頃、先生に漢字のトメ・ハネ・ハライを添削されても
「何が違うの!? どこをどう直していいのかわからないよ〜😭」
と泣いてたので、やる気の問題ではなくて、本当に違いが見分けられなかったのだと思います。
このように、フォントによって、読みやすい/読みにくい、の個人差がありますが、実は、子どもにとって、文章の読みやすさを左右する要素は「フォント」だけではありません。
以前のブログ記事「【凸凹中学受験】三者三様!それぞれの子に合わせた問題集選びと進め方」でも触れましたが……例えば、文体や行間、ルビやアイコンの有無などでも、理解のしやすさや学習への取り組み方が全然違ってきます。
家庭での教材選び、配慮が必要な子への個別調整、教材のユニバーサルデザイン化などの際に、「どんな表現スタイルが読みやすいか」を子ども自身の意見も踏まえて比較検討できるようにしました。
LDの啓発向けにフォントと見え方の比較画像などは私も見たことありますが、フォント以外の要素との組み合わせを一覧で比較した、配慮相談向けのものは見当たらなかったので、私、楽々かあさんが作りました。ドヤ顔、えへん。
■解説:読みやすさマッチング表-無料ダウンロード

☝️表の内容と比較項目
<フォントについて>
フォントは、「教科書体」「明朝体」「角ゴシック体」「丸ゴシック体」の4種で比較。
例文の文字サイズは、全て12ptで統一。
ご存知のようにフォントの種類はふぉんとーに沢山ありますが😅 ここでは私がよく使うものの中から、分かりやすい例を選びました。
ちなみに「UDフォント」は、障害のある人など、誰もが見やすく設計されたフォントの総称です。MORISAWAの「BIZ UDゴシック/明朝」など無償利用できるものもあります。

LDのある子への個別の配慮だけでなく、学校の先生方も「クラスで配るプリントをUDフォントに」ご検討されてはいかがでしょうか。
<口調(文体)について>
口調は「命令型」「丁寧型」「親しみ型」の3種で比較。
「〜しなさい」という命令形の文体に抵抗感のある子もいれば、気にならない子もいます。
逆に、「〜やってみよう」などの親しみやすい文体も、やる気UPする子もいれば、年齢や性格によっては「うざい」「バカにされてる?」なんて感じる子も。
参考書・問題集選びでは、その子の好みの文体に合わせてあげると、取り組み方が違うことも。
ただし、中学受験生などは、志望校の問題文に慣れておく必要もあるので、命令形が苦手な子も「そういうもの」と理解させたり、丸つけのほめコメントで自信をつけながら、徐々に抵抗感を減らしていくといいでしょう。
(ちなみに長男は、中学生の頃は命令口調の定期テストに「どうか解いて下さい、お願いしますって言えー!」と家でキレてました😂 でも、大学受験の問題文では、さらに短く「解け」とか「〜せよ」になりましたが、慣れたせいか、「簡潔で短いほうが、早く読めていい」とのことでした)
<行間について>
表の行間の設定は、標準=1行分、「行間広め」=1.5行分で比較(ルビ・アイコンありはさらに広め)。
※ワープロソフトの標準設定は行間=1行分が多いです(行間1行分=2.0と表記される場合も)。
LDのある子は、大抵は行間広めのほうが読みやすいと思いますが、広すぎても次の行に移る時に視線が外れてしまう場合も(縦組よりは横組のほうが、視線移動の負担が少ない場合が多いようです)。
また、短い例文では分かりづらいとは思いますが、特に、定期テストの国語や英語の長文読解問題などで行間が詰め詰めだと、問題を解く以前に心折れてしまう子もいます。
紙の節約も大事ですが、定期テスト等では、公平な機会を確保するためにも、最低でも1行分の行間は必要だと思います。
<ルビ(ふりがな)とアイコンについて>
ルビ・アイコンはなし/ありで比較。
LDがある子や、低学年や外国人の子などには基本的にはルビありのほうが親切ですが、かえって視覚的にごちゃごちゃしてしまい、文字本体と判別しづらい子もいるようです(ルビありの場合は行間も広めに取るなどの工夫も必要)。
アイコン(小さなイラストやマークなど)は、子どもの目に止まりやすく、注目を促したり、興味を引いたりする効果があります。ただし、気が散りやすい子には逆効果になることも。
効果的に使えば、楽しく学習できますが、多用しすぎないほうがいいかもしれません。
このように、それぞれの子で、同じ内容の文章でも「その子に合った」表現スタイルで、読みやすさ・理解のしやすさや、心理的ハードルが大きく変わってくるんですね。
そこで……
■「読みやすさマッチング表」の使い方
子ども:自分に合ったスタイルを知って、自己理解やセルフアドボカシーの助けに
保護者:家庭学習用の参考書・問題集選びの参考や、個別の配慮をお願いする際の説明に
先生:学級通信や課題、定期テストなどを作るときに、誰もが読みやすいプリント作りの参考に
ご家庭では「どの組み合わせが一番読みやすい?」、先生方は「どんな子にも読みやすいのは?」…などと、表を見せながらお子さん(達)にヒアリングして(表でアンケートを取っても◎)、個別支援とユニバーサルデザインの両方の視点から、ご活用いただければと思います。
<うちのヒアリング実例>
例えば、ややLD傾向のある、うちの長男(大学生)と長女(中3)の場合は……
長男:意外にも「明朝体」の「命令形」の「行間広め」が良いそうです。大学受験で命令形に慣れたし、読書家なので明朝体の文庫本を読むことも多いので、結局「慣れてるものが一番」なのでしょう。
長女:「教科書体」の「丁寧型」の「行間広め」が良いみたいです。そういえば、中学受験の時、志望校のA中学の過去問がこのスタイルで、国語の長文の論説文も、内容的には彼女には難しめでしたが、案外、根気強く解こうとしていたのを覚えています。
「読みやすさマッチング表」が、その子にとって「読みやすい」「学びやすい」スタイルを見つけ、話し合う助けになれたら嬉しいです。
また、誰もが読みやすい表現スタイルについて、広く考え見直していただく機会につながれば、とも願っています。
☺️おまけ:著者としてのこだわり
ちなみに私自身も、自著では出版社さんに、予め、本文フォントや文字組みの希望をお伝えしてから執筆しています。1冊目の本からずっと、読みやすさを重視したフォントを採用していただけました。
そんなところまで口を出す著者は珍しいかもしれませんが(笑)、一冊一冊丁寧に根拠を持って説明すれば、快くご理解くださった出版社さんばかりで本当にありがたいです🥰
配慮を求める際も、「話せばきっと分かってくれるはず」と信じて、丁寧に交渉してみるのが大事だと思います。
【支援ツールのシェア】
楽々かあさん公式HP>Share>支援ツールのシェア4の利用規約に同意の上でご活用ください。
▶︎「読みやすさマッチング表」の無料ダウンロードは→こちら(PDF,A4)
<関連リンク>
「合理的配慮」関連記事:発達障害・グレーゾーンの子への合理的配慮の実例や、先生への伝え方、入試での配慮などに関するブログ記事 → <合理的配慮>カテゴリーの記事一覧を見る
「勉強法」関連記事:LD・発達障害のある子の学習の工夫や宿題サポート、受験勉強に関するブログ記事 →<発達障害と受験・勉強法>カテゴリーの記事一覧を見る
支援ツールの無料ダウンロード:
教室での合理的配慮にも使える「ひらがな表」「学年別漢字表」などの学習サポートツール →<支援ツールのシェア3>のページへ
配慮相談シートやクラスの子達への理解をお願いするお手紙などのツール →<支援ツールのシェア4>のページへ
■この記事を書いた人の著書
「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」大場美鈴・著(あさ出版/2020.6)
















