楽々式用語解説

「発達障害」について、一般の方にも、なるべく分かりやすいよう、受け入れやすい伝え方とイラストで解説したものです。さりげなく周囲に理解や支援をお願いする際の、伝え方のご参考の一助になれば幸いです。
※医学的な診断基準に基づくもの、お子さんが発達障害かどうかを判定するためのものではありません。

発達障害(発達障がい・発達障碍)とは
 
発達障害,グレーゾーン,解説,

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発達障害とは、誰にでもある、得意なことと苦手なこと(発達の凸凹)の差が大きい子。

生まれついての本人の発達(発育)上の個性によるものなので、「ワガママ」や「努力が足りない」などの気持ちや意欲の問題ではなく、「親の育て方」などのせいではありません。

 

体質的に成長しやすい部分とゆっくりな部分があり、五感に敏感さ(感覚過敏)がある子も多く、アンバランスさがあるため、心身のコントロールが難しく、情報量の多い集団生活では負担が大きく、マイナス面が目立ってしまうことがあります。

 

これはアレルギーなどと同じように体質的なことです。

また、診断があってもなくても、「障害」かどうかは、その子の持っている個性と、周りの環境との段差で決まるものだと思います。

本人・家庭でできる工夫や療育をするのと同時に、環境側もその子に合わせてハードルを下げてあげると、凸凹差が大きくても、負担が減って落ち着いて過ごしやすくなり、その場に適応できれば、診断があっても、気にならなくなることもあります。

 

但し、本人・親がどれだけがんばっても、できないこともあります。

その場合、「努力では乗り越えられない壁」があると考え、周りの理解とサポートをお願いする必要があります。

そして、親と周りの人達が、子どもを理解し、肯定的に受け容れて、ほめるハードルを下げたり、その子に合った教え方で、できることを少しずつ増やし、自信をつけてあげると、より深刻な問題となる「二次障害」を防ぎ、その子らしさをのびのび伸ばし、長所を発揮しやすくなります。

その子に合った接し方が分かってくると、その子なりに落ち着き、育児や指導もしやすくなり、親も周りの人も楽になっていきます。

 

「発達障害」という言葉の中には、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、協調運動障害などが含まれ、先生への聞き取り調査からの推定で通常学級の6〜7%(30人学級で1人か2人)いると言われています。

 

(「障害」という言葉の重さや、「害」という字のイメージが良くないなどのことから、「発達障がい」「発達障碍」という表現で配慮している記述も多いのですが、私は「本人にとって(コミュニティや環境などに)障害物がある状態」だと思っていることと、今日「発達障害」という言葉を知ったばかりの方でも検索などで探し易いよう、現在のところ、一般的に浸透している「発達障害」という表現を、当サイトでは使っています)

グレーゾーン
 

発達障害の医学的な診断がつくほどではないけれど、その特徴がいくつか当てはまったり、感覚の敏感さがあるなどで、集団生活では「ちょっと気になる」「心配事が多い」などの面が出てくる子。

 

「努力でギリギリ乗り越えられてしまう壁」があり、一見問題なく、なんとか学校・園には通えているけれど、時々がんばり過ぎて疲れてしまったり、本人が困っていることに周りが気づかずに、負担を感じていることもあります。

 

診断のある・なしに関わらず、親や周囲の「さり気ない」配慮と理解があれば負担感が和らぎ、集団生活に適応しやすくなり、のびのびとその子らしさを発揮できるようになります。

 

推定で通常学級の2〜3割程度存在するとの指摘もあります。

高機能・グレーゾーンの子と二次障害の問題
 

言葉・知的な遅れの面で大きな心配のない高機能・グレーゾーンの子は、ぱっと見た印象では分かりにくい場合が多く、親や周囲、乳児健診などで気づかれにくいため、小学校に入学して、問題行動が起きるまで分からない、ということがあります(うちはそうでした)。

 

そのため、早期療育の機会を逃してしまったり、失敗体験や周囲からの叱責体験を積み重ねてしまい、自信や意欲を失って、本人の元々の個性が原因ではない、二次障害につながってしまう場合もあります。

二次障害とは、いじめ、不登校、こころの病など、より深刻な状態で、社会に適応できずにいることです。

また、その子に合った学び方ができずに、学業・仕事や、社会生活に必要なスキルや、自己管理の方法が身につかないまま成人して、自立につまづいてしまう可能性もあります。

 

(発達障害の特性のある子は、ほっておけば、失敗や経験から「自然と学ぶ」が通用しにくいのです)

このようなことを防ぐためには、社会生活に必要なことを少しだけ丁寧に教えながら、分かりやすく愛情を伝え、当たり前のこともほめ、認め、小さな「できた!」を積み重ねて、自信をつけてあげると、多少の凸凹はあっても、その子なりに安定していきます。

親が口を酸っぱくして言っても、子どもが聞いてない、すぐに忘れて同じことを繰り返す…そんな子育てをしているお母さんは、毎日本当にクタクタだと思います。でもその子育て、もしかしたら「その子に合った伝え方」で、ぐっとラクになるかもしれません…

明確な診断のないグレーゾーンの子も、「特別な支援、特別な配慮」までは必要なくても、ほんの少しの周囲の理解と「さり気ない」合理的配慮で、学校・園が随分楽になる、というお子さんは多いのではないかと思います。楽々かあさんが今までやってきた、園・学校に「さり気ない」配慮をお願いするコツをお伝えします…

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発達障害と特別な個性(特性・特徴)
 
自閉症スペクトラム(ASD・自閉スペクトラム症・広汎性発達障害)

自閉症とその周辺にある子達は「自閉症スペクトラム(ASD)」または「広汎性発達障害(PDD)」等と呼ばれます。

従来型の自閉症は言葉・知的な遅れを伴うなど、はっきりとした特徴がありますが、アスペルガー症候群を含む高機能自閉症の場合は、言葉や知的には大きな心配がない・水準・またはそれ以上の子も多く、ぱっと見では分かりにくいケースが多いようです。

 

従来型の自閉症と比べ、知的障害がなければ「軽度」と表現されることもありますが、本人の困りは決して軽くはなく、また体質的な特徴の強さによって日常生活に支障が出るなど、「軽度」であっても「軽症」ではない場合もあります。

 

従来型の自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群、それらのグレーゾーンの子、健常児(定型発達)の子どもたちの境界線はあいまいなので、「スペクトラム(連続体)」という言い方を使われるようになりました。

ASDの子には自分の独自の世界が、広大に広がっています。

興味は子どもによって様々ですが、「こだわり」を持ち、ひとつのことに夢中になり、一人で遊ぶことを好み、好きなおもちゃを並べて遊んだり、コレクションしたり、一つの作業に没頭したりしています。

 

身体の感覚が敏感なため、受け取る大量の情報を処理しきれず、パニックやかんしゃくを起こしやすく、「こうでないとイヤ」というこだわりが強いので、「ワガママ」と思われがちですが、本人は本当に日常生活の基本的な部分(気温や気圧の変化、音、におい、光、衣服などによる刺激)でガマンエネルギーの大半を使ってしまっている、と理解してあげて下さい。

感覚の過敏性などから、花粉症の人にとっての春先と同じような状態が、年中無休で続いているようなもの、と想像してみてください。こだわりや、パニック・かんしゃくも、そうしないと安心できない、という不安から来ていることも多いようです。

 

アスペルガータイプ以外は、言葉の発達がゆっくりの子が多く、語彙は少なめでちょっと無口な印象を受けますが、実は、言語の理解力は高い子もいるようです。また、身体の使い方がイメージしにくく、不器用さがある子が多いようです。

変化に弱く、自分の世界を大事にしているので、内向的で社会性に難しさがある印象ですが、日常生活に必要なスキルや、人との関わり方をひとつひとつ丁寧に教えることで、徐々に世界を広げて経験を増やしてあげることができます。

繊細で感受性が豊か、まじめ、勤勉、心優しい、などの素晴らしい長所も沢山あります。

 

 

アスペルガー・タイプ(アスペルガー症候群)
 

高機能自閉症の中に「アスペルガー症候群」と呼ばれる独特のタイプがいます。(この呼称は使われなくなりつつありますが、その独特な個性に合わせた対応を把握するために、当サイトでは「アスペルガー・タイプ」と独自に表現します)

 

特定分野に高い関心があり、知的に優れた子も多く、独自の才能を開花させる可能性も高いのですが、コミュニケーション面でつまづきやすい傾向があります。

 

いわゆる「空気が読めない」と言われがちですが、それは相手の表情から感情を正確に読み取ったり、状況から、その場に合った行動を臨機応変に判断することが苦手、相手の気持ちが想像しにくい、予測不能の事態が苦手…といった困りがあるためです。

 

文字通り「ものの感じ方が違う」ために起こることで、決して、思いやりがないわけではないのです。その場の状況や、相手の気持ち、して欲しい行動などを、言葉ではっきりと分かるように伝え、ひとつひとつ教えてゆくと、相手を思いやることができます。

 

アスペルガー独自の能力を、人の役に立つ形で発揮している成人の例もたくさんあります。

 

またADHDやLDの特徴を併せ持つ子も多いようです。そのため、特定分野で高い能力を持っていても、学業面などで十分に実力を発揮できず、悔しい思いをしていることもあります。本人の自尊心をケアしながら、苦手な作業に合わせて、課題のハードルを下げてあげる必要があります。

独自性が高く、ユニークさに溢れ、研究熱心で、人と違った発想ができる素晴らしい長所を持っています。

空気が読めずに、我が道を突き進み、正直過ぎて心の声が口から出ちゃう。地球や宇宙のことは気づくけど、目の前のことは気づきにくい「マイペース君」。実は、そんなマイペース君は、本当はユニークでオリジナリティ豊か、強靭なメンタルの持ち主なのかもしれません…

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注意欠如多動症(ADHD・注意欠陥多動性障害)
 

好奇心旺盛で、行動的なADHDの子は集中しにくい、落ち着かない、先を見通した行動ができない、周囲の危険に気がつかない、などの本人・周囲の困りがあります。

 

また、集中力に偏りがあり、好きなことには時間を忘れて集中し(過集中)、興味のないことにはぼーっとしてしまう(不注意)、といった状態にもなりやすいです。

 

そのため、学校生活では、長時間イスに座れない(離席)、忘れ物が多い、整理整頓できない、話を聞かない、などの課題が出てきます。

 

また触覚が敏感な子が多く、他の子との接触を嫌がったり、逆に親密に触り過ぎてしまったり、よくものにぶつかったり、反射的に手が出てしまう、といった、トラブルやケガのもとになりがちです。

多動性・衝動性のある子の育児は本当に大変です。

目が離せない、危ないことばかりする、トラブルばかり起こす…親は周囲からマナーやしつけを責められがちです。しかし、まずは今、お子さんが無事健康に育っているのであれば、親が相当な努力をしてきたという証拠です。

 

子ども同様、親にも、周囲の温かい理解が特に必要なのがADHDの子育てです。

 

また、不注意性が高く、多動性衝動性のあまりない子は、ADDと呼ばれます。

行動的な「ADHD」の一般的なイメージとは違うので、周囲に気づかれにくいことがあります。ぽわーんとマイペースな印象ですが、多動性衝動性のある子と同様、生活面や学習面、社会面で人知れず困っている可能性もあります。

 

ADHD傾向のある子はバイタリティと行動力に溢れ、好奇心旺盛で決断力に優れているといった、素晴らしい長所があります。

ADD傾向のある子はのんびりとして、想像力や空想力が豊かで、優しい子が多い印象です。

 

思い立ったら後先考えずにフライングで即行動!あっちこっちでトラブル続き。とにかく危なっかしい「あわてんぼさん」は、見ているほうもハラハラしてしまいます。でも実は、そんなあわてんぼさんは、行動力とバイタリティ溢れる、頼りがいのある人物なのかもしれません…

「あれがない、これがない」といつも探し物と忘れ物で時間を費やし、ぽわ〜んと上の空で宇宙の彼方へと飛び立ってしまう「うっかりさん」。実はそんなうっかりさんは、クリエイティブで想像力が豊かな、人間的な魅力に溢れた愛すべき人物なのかもしれません。…

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学習障害(LD・学習症)
 

LDは「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」の能力のいずれか、またはいくつかに困難さのある子です。

 

原因として考えられる理由は、それぞれの子によって異なるものの、脳の機能のうち、学習に必要な部分に「局所的な苦手さ」があるようです。ただし、こういった局所的な苦手さは、誰にでも起こりうることで、LDは身近な発達障害であるとも言えます。

 

例えば、「方向音痴で、地図を読むのが苦手」「人の顔と名前を覚えるのに時間がかかる」など、思い当たる方も多いのではないでしょうか。LDのある子は、たまたま、その苦手さが学習面に関する特定の分野にある、というだけのことだと思います。

 

ですから、その子本来の学力・理解力は、見かけ上のテストの点や成績表には表れにくいですが、決して「勉強ができない子」とは限りません。

 

字を読むのは苦手だけど言語能力は高い、計算は苦手だけど論理的な考え方は得意、字を書くのが苦手なだけで学力は、水準またはそれ以上、といった可能性も十分あり得るのです。

問題なのは、苦手な部分があると、宿題や授業への取組みが悪かったり、テストやノートを書けなかったり、作業に時間がかかってしまうことなどで、周囲からの叱責や、猛特訓で乗り越えようとして負担がかかったり、友だちにバカにされてしまうことが続くことです。

 

すると、子どもが自信や意欲を失ってしまい、学習に対するマイナスイメージが膨らんで、新たな知識に興味が持てない、得意科目など既にできていたことすら取り組みたがらない、など学習機会自体が少なくなってしまうと、本当に学力が低下してしまう恐れがあります。

 

また、学習の場である学校も楽しい場所ではなくなるので、登校しぶり・不登校傾向などになることもあります。

 

でも、LDのある子は「その子に合った学び方」なら、できるのです。

たまたま、日本の集団教育の中で、一斉授業で効率よく使われる、読み書き中心の学習方法が合っていないだけです。

 

タブレットやパソコン、ボイスレコーダー、デジカメ、メモ、ふせんなど、苦手を補うツールを使う工夫をしたり、動画学習や教具などを使った体感型の学習、少人数や個別指導など、その子に合わせた学習方法で、理解を深め、自信をつけていくことが可能です。

 

また、療育に気長に取り組むことによって、苦手な部分の発達を促し、改善していくことも期待できます。

 

何より親や先生が「その子に合った方法なら、できる子」なのだということを信じてあげて欲しいと思います。

 

その子が本来持っている力をのびのびと発揮できるようになれば、性格まで違った印象になってくるかもしれません。

 

小さな頃は学ぶことが大好きだった長男。ところが、彼には「LD」があり、字を書くことが苦手で、学校のテストの点や成績は、学年を追うごとに下がっていきました。でも「その子に合った方法」ならできるのです。最近再び、学ぶことへの意欲が出て来た長男。それでも…