• 楽々かあさん(大場美鈴)

生活の工夫

最終更新: 11月24日

生活環境をその子に合わせて、分かりやすく、使いやすく、動きやすく工夫していくことで、本人のミスや親の負担を減らせます。基本は「見える化(視覚支援)」して、図や箇条書きで示すと、とても理解し易く受け入れ易くなります。

これは、TEACCHでは「構造化」と呼ばれていますが、一般家庭でも柔軟に取り入れることができます。

見える化

発達障害の傾向のあるお子さんには、


・好きなことに夢中になって、他のことが耳に入らない(過集中)

・ものを片付けられない

・手先が不器用でうっかりミスが多い


…などの特徴があることが多く、支度が遅い、気持ちの切り替えが苦手、よく物をなくす、食べ物や飲み物をこぼす、などで日常的に注意や小言が多くなりがちです。これは、親にとっても、とても負担が大きいことですよね。

「よく言う小言は箇条書きで紙に書いて貼っておく」などをするだけでも、子どもと親の双方の負担を減らせます。

「見える」ようにすることで、耳からの情報が入りにくい子にも伝わりやすく、注意を向けやすくなります。

ただし、ここで気をつけたいのは「注意・叱責の見える化」です。

視覚情報が受け取りやすい分、見えるように注意されると、とても傷ついてしまい、自己肯定感を下げてしまいます(漢字書き取りの訂正などに、強い抵抗感を示すお子さんもいるっでしょう)。

できるだけ肯定語で、「やっていいこと」を書いておきます。

分かりやすいマークやサインシンボルを使うと意識を向けやすく、気をつけやすくなります。台所など、危険な場所やものの扱いなども、一般的な注意や禁止のマークなどは、受け入れやすいようです。(参考:過去記事「おうち標識」



朝のしたくカード

手順を示す

子どもには、順番どおりにコツコツとやっていくのが得意な子と、全体像を把握してから細部に入っていく子があるようです。このどちらのタイプも、身支度、学習などあらゆる場面で、予め手順を伝えておくことで、分かりやすくなり、不安感を減らして取り組みやすくすることができます。(関連記事「したくカード」

手順には番号を振り、箇条書きで短い文を添えます。

イラストや図などがあると更に分かりやすくなります(マルボー人間など簡単なものでも大丈夫です)。

また、「もし失敗したらどうすればいいか」を、カードなどで伝えておくことで、失敗への不安感を減らし、課題に挑戦しやすくなります。負けず嫌いでゲームなどに参加したがらないお子さんも、「負けたときどうしたらいいか」を予め伝えておくことで、参加のハードルを下げてあげられます。

予測のつかないことが苦手な子には、予定変更の可能性と、その場合どうしたらいいか(「雨で中止になった場合は◯◯する」など)予め伝えておくことで、パニックやかんしゃくを予防することができます。


絵カード・写真

自閉症のお子さんの意思疎通のためによく使われる「絵カード」も、応用すれば、幅広く子育ての場面で活用できます。

「絵カード」は文字通り、絵や写真、イラストなどに短い文が添えられたシンプルなもので、市販されてもいますが、誰にでも簡単に作ることができます。

写真に手書きの文字を入れてもいいですし、写真加工アプリなどを使って作ることもできます。 ポイントは、不要な情報をできるだけ入れないようにすることです。背景を白にしたり、後から加工して消したりすると、対象物に注意を向けやすくなります。

この「絵カード」や写真を使って、時間割や持ち帰りなどの持ち物確認や、写真に番号を振って「手順カード」等として使うことができます。この方法で生活関係だけでなく、「繰り上がりの筆算」や「友だちへの謝り方」「買い物の仕方」など、学習やSSTにも活かすことができます。


タイマーアプリの活用例

気持ちの切り替え

集中しすぎる、または、集中できないために、気持ちの切り替えの苦手な子、時間感覚の弱い子にはタイマーを使ってみると、伝わりやすくなります。

強制的にやめさせたり、ゲームなど夢中になっているものを取り上げたり…などはパニックやかんしゃくにつながりやすく、また、遠くから何度も大声で呼びかける…などもこちらの徒労に終わりがちです。

何かに集中している、あるいはぼーっとしている時には、近くに寄ってとんとんと軽く肩を叩いたり、視界に入って気づかせたり、「見て」と声かけして、注意を向けてから、「あと何分で終われそう?」「宿題は何時からやる予定?」など、子どもの都合を聞くといいでしょう。その際にタイマーなどを併用して使うと効果的です。

そして、夢中になっていることをやめて、宿題などの課題に取りかかれた時は「やめれたね!」「間に合ったね、助かるよ」など、声かけします。

また、毎日の生活のリズムが決まっていると、安心するお子さんが多いようです。起床や就寝時間だけでなく、家電のタイマー機能などを使って、生活の中の様々なタイミングでアラームなどが鳴ると、気持ちの切り替えの目安になります。

逆に、なるはずだったアラームやチャイムが鳴らないと、受け入れられずにパニックやかんしゃくを起こす場合もあります。できるだけ電池などをチェックして、そのようなことを避けつつ、「機械が壊れる」などの可能性があることを、落ち着いている時に伝えておくといいでしょう。



その他の工夫

小さな子のいる家庭では、洗面所に踏み台を置いたり、コンセント口にはカバーを付けたりしていることも多いかと思います。

それと同じ目線で、家や学校でちょっとした工夫をすることで、衝動性・不注意性が高く、うっかりミスやよくものをなくしたり、忘れ物が多かったり、少々不器用な子も、安全に使いやすく、落ち着いて課題に取り組め、注意・叱責を減らすことができます。

例えば、文具や家のカギ、財布やスマホなどにはひも(またはスプリングコードなど)を付けて、入れ物やフクロに付けておくだけで、「ない!ない!」を減らせることができます(関連記事「ひもつき文具」)。これは親にとっても、探し物の負担が減り、とても助かる工夫です。

また、電子レンジや電話など、家電の使い方などの手順カードを使う場所の近くに、一緒によく使うもの(ミトンやトング、連絡先メモなど)と一緒にまとめて置いておくと、自分で「できた!」が増え、料理や友だちを遊びに誘うなど、いろんな体験に挑戦しやすくなります。

繰り返しうまくできないことがある場合は、態度ややる気を責めずに、何か子どもの苦手なモノや動きがあるのではないか、と「行動」に目を向け、こちら側でできる工夫をしていきます。例えば、不器用さなどからうまくできない場合には、苦手な動きを補助するツールを使ったり、感覚過敏などから気になるものがある場合には、原因となる情報を減らす・緩和する配慮(例:イヤーマフ、ついたてなど)をしたりすることで、ハードルが下がっていきます。

子どもの苦手な行動に目を向けることで、こちら側でできるサポート方法を具体的に考えていくことができるようになっていきます。


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