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親の育て方の責任割合〜子育てプレッシャーに潰されないために

■子どものことで、自分を責めてしまう前に…


子どもが大きくやらかした時や、何もかもうまくいかない時、挫折や失敗経験から立ち直れずに苦しんでいる時……。

毎日一生懸命に子育てをしている人ほど「私の育て方がよくなかったのだろうか」と、自分を責めてしまいがちではないでしょうか(お気持ち、よく分かります)。


あるいは、毎日トラブル続きだったり、不登校や問題行動などで学校に適応できなかったりすると、夫(あるいは妻)や祖父母から「お前の育て方が悪い」だなんて責められたり……。


学校の先生などの中にも、これだけ発達障害に関する情報が増えても、未だに「発達障害は親の育て方のせい」などと頑なに信じている人もいたりして(言っときますけど、違いますよ!)、なかなか周囲の理解が得られない経験をされた方もいるかもしれません。


でも、親として最も苦しくなるのは、成長してきた子が大きくつまづいたり、努力ではどうにもできない壁にぶつかっている時などに、「自分がこうなったのはお母さん/お父さんのせいだ!」とか、「〇〇ができないのは、親に似ちゃったからだ」などと、子ども自身から責められることではないでしょうか(これは本当につらいと思います……)。


加えて、世間で大きな事件などがあると、専門家などの解説は、なんでも親子関係や家庭環境の問題に帰結しがちですしね(極端な事例の図式を、子育て全般に当てはめることはできないと思います)。


前回のBlogでも、親は子育てプレッシャーを強める情報ばかりに囲まれていることをお伝えしましたが……。毎日がんばっているのに、なんでもかんでも親のせいにされたら、子育て中の方は息苦しくなってしまうし、若い人達の子育てイメージのハードルも上がってしまいます。


ちょっと待ったーッ!!


確かに、紛れもなく、親には子育ての責任があります。

その子の人生において、家庭環境や親の影響は確かにあると思います(※1)

誰かに子守は頼めても、その子の「親」というお仕事だけは、生涯誰にも代わってもらえませんから、ここから逃げるわけにはいきません(とっとと腹をくくるべし!)。


だけどね。たとえ、その子がうまくいかないことがあっても、全てが親だけの責任だなんてことはあり得ませんからね!


少々手がかかる子の子育て歴18年の私のあくまで職人的な肌感覚と経験則から導き出したイメージなので、実際のところは子どもの年齢や発達段階にもよるし、一人ひとり家庭事情も違うので、ケースバイケースだとも思いますが、あえて<子育ての責任割合>を数値化して明解な図にするならば……


子育ての「親の責任」は3分の1、「母親/父親の責任」は6分の1(16-17%)程度です!


■図解!子育ての責任 割合図


子育ての責任割合図 楽々かあさんイラスト

この図はどういうことかというと……。


仮に「その子」を育てる植木鉢のようなものがあったとしたら、その成長の土台となる養分の構成比率は、家庭環境:生まれつきのその子の個性:社会的環境 =1:1:1。つまり、子育ての責任は、それぞれ3等分!…という意味です。


一人の子の育ち方や人格や人生は、「親の育て方」だけで決まるものではありません。


親や家庭の影響は当然ありますが、同じくらい、その子本来の個性や、学校や友人関係やネットなどの社会的環境だって影響しています。そして、この成長の3つの養分は、相互に影響しあっているとも思います。


では、それぞれの養分を細かくみていきますね。


【生まれつきのその子の個性】


これはもう、アサガオの種からはヒマワリが咲かないのと同じことで、「そーゆーもの」としか言えません。親も子ども自身も、なにも悪くありません。誰のせいでもありません。


ただただ、「この子はそーゆー子」なだけです。


「発達障害は親の育て方のせい」なんかではないのも、同じ理由です。


まあ、同じアサガオでも、日当たりや風通しや水やりや肥料を「その特性に合うように」適切に調節すれば、丈夫で大きな花を咲かせることもあるように、親の関わり方次第で育ち方を左右できる部分もありますから、我が子の人生に対して、親は決して無力ではありません。

でも、今年の猛暑や水不足のように、親の努力ではどうにもならない環境の影響だって大きいのです。


もし、万が一、その子の生まれつきの個性に対して、親が遺伝的責任まで問われるのであれば、そんなのは親自身にもどうにもならないことですから、強いて言うならば、人類全体の責任です。

(私は発達が凸凹した子の遺伝子が今日まで残り続けてきたのは、人類の生存戦略にとって意味があることだと思っていますよ)

そして、著書等でも度々お伝えしてきましたが……


「どう育てるかは親が決められるけど、どう育つかは子が決める」んです。


うちも、3兄妹で毎日同じものを食べさせて、同じように育てているつもりでも、その子の個性によって全然違う子に育っていくし、それが子育ての難しさでも、面白さでも、あると思います。


【社会的環境】


生まれたばかりの赤ちゃんの頃は、親の腕の中やおうちが「その子の世界の全て」だったりもしますが、お外をよちよち歩き始めたら、その子の世界は毎日広がっていきます。

そして、園や学校に通うようになると、友達や保育士さん・先生と一緒にいる時間も長くなり、そこでの経験によってもたくさん影響を受けながら社会性を身に着け、また、その社会の中で期待される役割を引き受けながら、その子の人格も作られていきます。


ましてや、中高生頃になれば、親と家で過ごす時間はほんのわずかで、1日の大半は、学校、部活、塾、コンビニやファストフード店か、あるいは、家にいても「ネットの中」とか……。

いつの間にか、親が把握できないほど子どもの世界は多層に広がっていて、親が少々小言を言ったところで、その影響力は微々たるものだったりもします(それで健全です)。


なにかあると、心理学的見地からなどでは、"子ども"がいくつだろうと、幼少期の家庭環境や親の養育態度の影響を問われがちですが、その子の人格の形成には、思春期・青年期の社会的環境の影響だって同じくらい大きいと、私はうちの子達の現実の実態を見て、常々実感しています(今は私などよりもYouTuberに余程影響受けてますからね…)。


子どもがうまくいかない時だけ、その社会に適応できない時だけ、「親の育て方」のせいにされるかもしれませんが……。


確かに、親の関わり方・接し方次第で、社会に適応しやすく育てていくことは"ある程度”できます。

親は子どもに3食食べさせていれば、最低限の責任はすでに果たしていると思いますが、理想を言えば、安定した適切な親子の愛着関係を基盤に、毎日十分なコミュニケーションを取って、自己肯定感を高めつつ、柔軟な考え方ができるように……等の具体的な接し方のコツを私も伝え続けてきました。


だけどね、「その子」と「その社会」との相性や、時の運もあるから!


どんなに親ががんばったって、その子の個性と全く合わない環境だったら、そこでうまくいかないのは当たり前です。中には、適応できないほうが健全な環境だってありますしね。親の考え方と経済力次第で、環境選びの選択肢を多少増やしてあげることはできるけども。


それに、たまたま生まれた場所時代などの、親と子の努力ではどうにもならないデフォルトの環境設定との兼ね合いで、その子が生きやすいか、生きづらいかも変わってきます。

「イタリア人だったら、気にしないのに」「原始時代だったら、エリートだったのに」…とかね(原始時代は無理でも、成人したら自分次第でイタリアには自力で行けます)。


とはいえ、社会的環境は、家庭環境と相互に影響・補完し合うものでもあると思います。

家で親が子どもの自己肯定感を高めても、学校で自信がペチャンコになることもあるし、ネットでネガティブな情報ばかり見て落ち込むこともあれば、その逆も然りです。また、親や先生がどんなにがんばっても、そもそもの教育システム自体(集団教育、一斉授業、学年別の学習内容、受験制度など)が、その子の個性に根本的に合わないこともあります。


それでも、親子関係がうまくいかない時や、親が子どもに十分関われない時に、友達や先生が支えになってくれることもあるだろうし、逆に、学校がつらい時には親が気持ちを受け止め、おうちが安全な居場所になってあげることで立ち直れたり……。もしも、「家にも学校にも居場所がない」なんて場合には、ネットが避難先になってくれることもあるでしょう。

そうやって、相互に影響しあいながら、みんなで一人の子の心を育てているのだと思います。


事件に至る程の極端な事例には、親の不適切な養育や家庭環境の影響が大きい場合もあるでしょうが、もしも「それ以外」の社会的環境が少しでもその子の心を支えてくれていれば……あるいは、社会全体がもう少し寛容で余裕があったなら……何かしら「結果が違っていたのではないか」と思うこともしばしばです。


【親の責任〜父親の役割と母親の役割】


このように、私はその子の全体像に対する「親の責任割合」は3分の1程度だとイメージしていますが、更にそのうちの「父親の責任」「母親の責任」は平等に2等分です


元々の生物学的な性の区分けがなんであれ、どっちがどっちの役割を引き受けてもいいですが、子どもの心の発達には、安心感を与える「母親的役割」を担う人と、自立心の背中を押す「父親的役割」を担う人の、どちらも必要だったりします。


ここで、「うちはワンオペ育児なので、子育てはほぼ自分ひとりで引き受けてます」とか、「ひとり親家庭なので、父親の役割も母親の役割も全部やってます」って方も、中にはいらっしゃるでしょう。それでも言いますが、例え片方が実質不在の育児であっても、やっぱり責任は2等分です。


だって、お一人で子育てすることになった事情に対する責任は相手方にもあるわけですし、そもそも子どもは一人じゃ作れませんからね(近い未来では、違うかもしれませんが…)。


万が一、モラハラ夫に「お前の育て方が悪い」だなんて責められる、女性マンガみたいな展開が現実に起きたら、心の中 or 声に出して「オマエモナー」と唱えながら、相手のオデコに"半額お値引きシール"を貼ってOK(こんな時代錯誤な方は、自分が「見切り品」になる前に、早めに気づいて軌道修正できるといいですね)。


結婚式の時の友人スピーチで、「喜び2倍、悲しみ半分」って言われませんでしたか?

実際に子どものお世話をする"実務”の担当割合は、それぞれのご家庭の事情で現実的な妥協点を見つければいいですが、「子育ての責任」自体は、当然ながら、パパ・ママ仲良くはんぶんこです。

(多子家庭はきょうだい児の影響もあるでしょうが、きょうだい児に子育ての責任自体はないと思います)


■子育てプレッシャーに潰されないために…


大半の親は、ただただ、我が子に幸せに生きて欲しいだけだと思いますが、そのために「あれもこれもできなくては!」と思い詰めると、その重荷で潰れそうになる方もいるでしょう。

その結果、ストレスが子どもに向かったり、ご自身が無理をしすぎて動けなくなったりしては、誰のためにもなりません。


特に、発達障害のある子を育てる親(主に母親)が、うつ病や抑うつ状態になるリスクは有意に高いとも聞きます。

子育てを一生懸命頑張っている方ほど、「あなたのせいじゃない」などと言われても、無責任過ぎる気がして、楽観的には受け取れないかもしれません(お子さんを大事に思っている証拠です)。


そんな方が、もし「私のせいだ」と、自分を責めて思い詰めそうになったら、先程の図を思い出して頂けると嬉しいです。もう一度言います。


子育てに、当然「親の責任」はあります!

でも、「私のせい」なのは、その子の全体像のうちの、6分の1程度!!


子育てプレッシャーを重く感じたら、上手に責任を分散して、自分の心を守ってあげてくださいね。


 

※1 「双子を対象とした親の育て方と子供の性格への影響についての遺伝学的調査によると、遺伝的影響が50%で、親の育て方の影響は0〜11%、残りは社会的環境の影響」…といった情報を根拠とした著述・論説等もありますが、元の調査の詳細を私は確認できませんでした。

もし、このデータが正しいものだとしても、あくまで”性格”への遺伝的影響についての研究なので、言葉や行動、学習機会、対人関係、環境選び、社会的地位や評価、適応力、本人の幸福度…等々を含めた、その子の生き方や人生全体に対する影響力の調査ではないので、子育て全般やその子の将来について「親の育て方の影響は0%」と言い切れるような情報ではないように思います(私の実感からすると、親は万能ではないけれど、我が子の生き方や人生に対して、そこまで無力でもありません)。