電話のかけかた

SST

 

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)は、社会的な活動全般の練習を指します。

経験を「自然と学ぶ」が苦手な子に、人の感情やコミュニケーション、暗黙のルール、セルフコントロール、危機管理、性教育などについて、その都度ひとつひとつ教えていくことで、対人面での経験値を上げていくことができます。

空気が読めない?

 

アスペルガー・タイプの子は特に、対人コミュニケーションにとって必要な、空気を読む、相手の気持ちを考える、状況を臨機応変に判断する、本音と建前を使い分ける・・・と言ったことが苦手なため、思ったことを正直に口に出してしまったり、ウソを真に受けたり、予想外の出来事にパニックになってしまったり、一方的に自分の興味・関心のあることを話し続けてしまったりするため、協調性に欠ける印象を与えてしまい、対人関係につまづき易くなってしまう傾向があるようです。

また、自己主張やこだわりの強い子や、自分の領域と他人の領域の境目が分かりにくい子は、他人のプライベートな領域に遠慮なく侵入してしまい、脅威とみなされることもあります。

 

しかし、こういった子は本当に「人の気持ちを考えていない」のでしょうか?

 

私はそうは思いません。感覚過敏などにより、特有の感覚を持ち合わせているため、他人が自分とは違った物事の感じ方をする、ということに気がついてないだけだと思っています。文字通り「ものの捉え方・感覚が違う」んですね。それでも、アスペルガー・タイプを始め、発達障害の特性を持ちながら、才能を開花させた著名人の多くが「人の役に立ちたい」という強い想いを持って、歴史に偉大な功績を残しています。人や世界のことは人一倍考えているとも言えます。

共感力の弱さには、ミラーニューロンの働きが関係している、という説もあるようです。模倣することが元々、体質的に苦手な場合、「自然と学ぶ」がしにくいように思いますし、情報の選別や記憶の参照が苦手な場合には、「失敗すれば気づく」は、難しいことだと思います。

お天気goods
ルールブック
社会・ゲームのルールや
謝り方の手順、人のきもちなどを図や数値を使ってまとめたもの
ジャンケン
フローチャート
ゲームの流れを一目で分かる図にして
負けたときどうしたらいいかを伝えている
OKカード
きもちスケール
きもちを「見える化」し表現できることで
落ち着ける効果がある
 
かおパレット
ステータス・ゲージ
こちらからお裾分けしています
 
ゲームの好きな子に、自分のコンディションや痛みなどを意識・共有するためのツール
 

これ以外の「SST」のアイデアは

こちら(facabookページアルバム「#SST」)です

家族旅行のしおり
家族旅行などの際には、日程や地図、現地写真などをまとめた「しおり」を作ると混乱を減らすことができる。天候や渋滞などでの予定変更の可能性を事前に伝えておくと良い

SST

 

では、アスペルガー・タイプを始め、発達障害の傾向のある子が社会的なスキルを身につけるにはどうしたらいいでしょう?

 

SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)は文字通り社会的なコミュニケーションスキルのトレーニングです。

発達障害のある子に、社会的なルールやマナー、人との会話、友だちとの付き合いかた、暗黙の了解、自己管理、セルフコントロール、危機管理、性教育など、丁寧に分かるように教え、導いてゆくこと全てがSSTです。「ワークブック」などの形で市販されているものもありますし、成人向けのSSTプログラムなどがある各種支援団体も多くあります。

SSTを家庭でやっていく場合、基本はここでも「見える化」です。生活の工夫や、学習サポート同様、「自分・他人のきもち」「暗黙のルール」など、目に見えないものを、図やイラスト、数値、手順カードや箇条書きなどで、目に見えるようにして教えていきます。


マンガは、分かり易い表情で会話のやり取りがあり、「額に汗」や、「頭にカミナリ」など、象徴的なシンボルで「空気の見える化」がされ、心の中で思っていることがフキダシに描かれる表現があります。最初はマンガを読むためのルールを覚えなくてはなりませんが、子どもの興味・関心を引きやすく、楽しみながら、場面別のコミュニケーションの例が分かり、語彙も増えるので、とても良い手法だと思います。

伝えるポイント

 

例えば、「こういった時にはこうする」というものをまとめた「ルールブック」などを子どもと一緒に作っていく場合、親が伝えておきたいことはたくさんあると思いますが、伝わり易い、受け取り易いポイントがあります。他のサポートも同様ですが、

 

・短い言葉を箇条書きで、具体的に書く

・肯定語で、やってもいいこと、望ましい行動を書く

・図やイラスト、写真など、視覚的な情報を入れる

・メリットやソントクなど、合理的な説明をする

 

を、基本にすると良いと思います。

それに加えて、予測のつかないことが苦手な子、完璧主義で失敗を恐れる子、負けず嫌い、不安感の強い子などの場合、自己肯定感を高める接し方を心がけつつ、

 

・予定変更の可能性、負ける可能性などがあることを事前に伝えておく

・負けたり、失敗した時、予定どおりに行かない時には「こうすれば大丈夫」を事前に伝える

・天候の急な変化や災害、緊急事態の時などの可能性と対処をリストにしておく

 

といった対策を前もってしておくと、不安感を和らげ、行事・ゲームへの参加のハードルを下げ、心の準備をすることで、不測の事態の時のパニックを回避できる可能性があります。

 

客観視

 

もう一つ大事なのは「客観視」です。自分の感情や体調、他人の感情などのレベルをスケールを使って「見える化」することで、セルフコントロールの練習になります。
自分の気持ちを周りに分かってもらえない、どう表現したらいいのか分からない、といったことから感情を爆発させ、かんしゃくを起こすこともあります。

 

シェアツールの「きもちスケール」や「顔パレット」などは、子どもがイラストの顔を見て「こんぐらいイヤだった!」と表現することができるので、それだけでも気持ちを落ち着けることができます。慣れてくると、スケールがなくても気持ちが言えるようになってきます。自分の気持ちを表現できれば、「人の気持ちを考える」など、次の段階に進められます。

 

また、筋肉や伝達回路の未発達などで、声量の調節が苦手な子、場の空気を読まずに騒いでしまう子などには「声スケール」、困っていることを伝えられない子、大人に依存的な子には「困りスケール」、自分の疲労感に気づきにくい子には「疲れスケール」など、その子の特性に応じたスケールを作ることで、自己管理がし易くなります。これは成人となった時にも役に立つ経験になると思います。

記録・フィードバック

 

発達障害の傾向のある子は「自然と学ぶ」「失敗すれば気づく」が苦手なことが多いようです。他の子たちが経験から自然と身につけたり、過去の経験の記憶を、他の場面で適宜参照し臨機応変に応用する、などがしにくい傾向があります。また、不注意性や過集中の傾向があると「周りを見て動く」なども、ハードルが高いことです。そのため、こちらはこの年齢なら当然分かっているハズ、と思っていることが分かっていなかったり、勘違いのまま理解していることもあります。

 

これを「未学習」「誤学習」といい、「本人が困ったり、嫌な想いをすれば、そのうちできるようになる」と放置しておくと、大人になってもできないまま、という可能性もあります。
これは、少しだけ丁寧に、ひとつひとつ教えていくことで、身につけていくことができます。

 

そして、もう一つ大事なのが、取り組んだ過程や意欲、その子なりの進歩、少しでもできたことなどを、その都度フィードバックし、写真などで見えるように記録してあげることです。兄弟や他の子と比較してもプレッシャーになってしまいますが、過去のその子自身と比べることは励みになります。

口頭でも「一年生の時は泣いてたけど、泣かずに参加できたね!」など、以前からの進歩や成長を認める声かけをしていきます。

こうすることで、経験を蓄積し易くなるとともに、「できた!」の成功体験を何度も味わえるので、普段よく怒られがちな子でも、自己肯定感を高めていくのに役立ちます。

 

視覚的ツールを使ったり、分かり易い文章で伝えることで、コミュニケーションや、社会的なスキルを教えていくことができます。

丁寧にひとつひとつ教えれば、どんな子も「できた!」を増やすことができ、更に記録・フィードバックすれば、経験を蓄積し易くなります。

 

※このサイトは「楽々かあさん公式HP| Idea&tools for ASD LD ADHD kids」です。

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