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「勉強のできない子」が、できる子になって起きたこと

更新日:2023年6月25日

発達障害のある子の中学受験勉強は、"その子にとって過剰な負担にならないなら"…という条件付きで私は大賛成です。

うちでは、その子に合った校風の私立中高一貫校に進学できたことで「障害」という言葉を意識しなくなったし、受験勉強を通して、脳の回路がつながっていく感じとでも言うのか……知識をつなげて思考力を鍛える頭の体操がそのまま学習面での療育になっていたようで、結果に関わらず、その後の学力向上にもつながったと思いますし、子ども達も口を揃えて「やってよかった」と言います。


でもね、今、中学受験を検討されている凸凹親子さんが、本格的に受験勉強を始める前に、心の片隅に留めておいてほしいことがあります。


こんなこと言うのは本当に心苦しいのですが……。


それは……それまで小学校のクラスで「できない子」だった子が急にできるようになると、いじめに遭う可能性があるということ。


とりわけ、受験勉強に関しては、LD(SLD/学習症/学習障害)や、そのグレーゾーンの傾向があって、今までの成績があまり良くなかったり、教室の中で「勉強のできない子」として扱われていた子が、急にテストでいい点取り始めると、クラスの子達にめちゃくちゃ足を引っ張られる……かもしれません。


もちろん、これは本人の個性とそれまでのクラスメイトとの関係性や、担任の先生のクラス運営の力量や、その地域・学校での中学受験率の高さなどにもよると思うので、絶対にそうなるとは言えませんし、私もそうであって欲しいと強く願っています。


実際、LDグレーゾーンの長女も、彼女の持ち前の明るく優しい人柄とコミュ力の高さからか、成績が上がっても小学校で嫌な思いはしませんでしたし、LD傾向がなく学力が高いタイプのASDのお子さんなども、この点では無関係だと思います。


でも……。


それまで「勉強ができない子」というイメージが周囲に定着してしまっている場合、その子に合った方法で勉強ができるようになると、かえって、嫌な思いやつらい思いをする可能性があると思います。


お子さん本人が本当に行きたい学校(あるいは、絶対に行きたくない学校)があるなら、私はそれでも負けないで欲しいし、親のほうも予め心の準備と対策をしておいたほうがいいと思うので、あえて、うちの長男の経験をもとに厳しい現実のお話をします。


長男は、ASDの診断に加え、ADHDとLDの傾向があったのですが、好奇心旺盛なため博学で地頭も良いように感じましたし、知能検査のIQも高いほう(ただし、凸と凹で40のIQ差)だったのですが、小学校の成績は全教科「がんばりましょう」ばかりでした。


書字障害の傾向もあり、小4まではノートをロクに取らなかったりしましたが、家での療育あそびとサポートに加え、小5で支援級に転籍して自分のペースで学習してなんとか字を書くようになりました。

それからハイペースで学習面の遅れも学年相応まで追いつき、支援級の先生の勧めと、中学受験の出願書類に成績表のコピーが必要なことや、通常学級しかない私立中の進学後の学校生活に備える意味もあって、小6で再度通常学級に戻りました。


そして長男は、学校見学会でA中学をすごく気に入り、また、「地元の中学だけには、絶対に行きたくない」という、ポジティブ&ネガティブな強いモチベーションと、志望校合格という「勉強の目的地」ができました。

すると長男は、ASDの粘着ど根性+ADHDの過集中パワーで、あっという間にテストの点が急上昇しました(中学受験勉強中の子には、公立小のテストは簡単だと思います。字さえ書ければ……)。


そしたら……それまで長男に優しく接してくれてたクラスの子達が、突然彼を叩き始めました。


1つひとつの行為を具体的には書きませんが、事細かに彼の些細な間違いやミスを指摘したり、できないことを過剰に責めたり、ものを隠すなどの嫌がらせをしたり……。


基本的に、いじめ対応は早めがいいので、私は担任のX先生にスグに相談しました。

ところが、私には「注意しておきました!」って報告がありましたが、長男によれば、ニヤニヤしながら軽くたしなめる程度で、本気で止めてくれなかったそうで、事実上のいじめ容認でした。


X先生は、中学受験や学習塾などにも反対の立場で、先生自身からも嫌がらせ行為を受けたり、長男のテストの点に対して不当に低すぎる成績評価をつけられたりもしました。(そして、X先生が原因で、受験本番直前に長男に本当につらい出来事があったのですが……)


X先生について語ると長くなるのでこの辺にしますが、長男の場合はモラハラ気質のX先生個人の問題がかなり大きかったとはいえ、うちの地域のように、受験率がさほど高くない地域・学校だと特に、中学受験に対する理解がない担任の先生に当たると、発達障害ある・なし関係なく、嫌がらせ行為などを受けることは、当時調べた範囲では結構ある話のようでした。


当時、長男はクラスに居場所がなく、担任の先生も守ってくれず、本当に本当に辛かったと思います。(ただし、クラスの「全員」がいじめ行為をしていたのではなく(中心人物は2-3人程)、今まで通りに接してくれた子もいたし、学校内には、スクールカウンセラーや支援級の先生方、弟妹など、少数の味方や理解者もいたので、時々休みつつもギリなんとか学校に行けていました)


では、なぜ、クラスの(一部の)子達は長男を急に叩き始めたのでしょう。


あれから6年経って、ようやく当時の状況を客観的に見られるようになり、私はその理由を、それまで通常学級のクラスの中で、長男が「できない子」という役割を引き受けていたため、その役割を降りようとした途端、クラスの子達は彼を排除するように動いたから、だと推察します。


支援級に転籍する前の4年生のクラスでは、みんな長男に優しかったのです。

でも、それは4年生の時の担任のY先生が「みんなで◯太郎くんを助けてあげよう」という空気を作っていたからでもありました。遠足などでグループを作る時にはリーダー格の子が仲間に入れてくれたり、体育の後で体操服を出しっぱなしにしてたら、隣の席の女の子がたたんでしまってくれたり……みんな、長男が「できない子」だったから温かく接してくれ、そうである限り、彼にはクラスに居場所があったように思います。


ただし、Y先生の指導力の高さも保護者の間で評判で、クラスにはまとまりがあり、長男も「今年はいいクラス、いい先生だ」としきりに言っていたものの……なぜか、長男には原因不明の頭痛・腹痛や、被害妄想のような思考の偏り、友達トラブルなどが増えていきました。


不思議に思った私は、本人の話をよく聞きつつ、行事などの際に直接クラスでの様子を見ると、確かにみんな優しいけれど「対等な友人関係ではないな」と感じました。

また、一見指導力が高く思えたY先生も、発達障害対応などをお願いしても自分のやり方を頑なに変えず、「発達障害は親の育て方のせい、家庭の問題」と信じていて、発達障害のある子とその親への偏見が強い方のようにも思いました。


そして、本人の努力と家でのサポートや療育などで、できることが増えていたはずの長男は、今までひらがなが多めでも少しは書けていたテストも白紙で出すようになり、教室でそれまで自分でできていたことすらできなくなり、どんどんと「できない子」らしく振る舞うようになりました。


これでは、周りからどんなに優しくされても、彼にとってプラスにならないと感じ、この頃より、私は長男と支援級への転籍を考えるようになりました。

そして、5年生で支援級にいる時期に中学以降の進路を模索する中で、行きたい私立中学が見つかって、6年で通常級に戻って、受験勉強で勉強ができるようになったら……出る杭が打たれることに。


つまり……(今から頑張ろうとしている親子さんには、すごく言いづらいことですが……)


それまで横並びだったり、あるいは上下関係や優劣がつけられた状態で、その子が「できない子」という役割を引き受けて、その環境で受け入れられていた場合、その役割を降りる(かつ、自分達よりも優位に立とうとしているように思える)と、攻撃したり嫌がらせしたり、出る杭を叩いてメチャクチャ足を引っ張りたくなる集団心理が働くのだと思います(例えが悪いですが、"ヤ○ザの足抜け"と同じです)。


「じゃあ、どうしたらいいのか」というと、うちの長男の場合は「頑張るしかなかった」です。


私は、なんでも「とにかく頑張れ」で乗り越える根性論は好きではありませんが、人生に何度かは、頑張ることでしか、突破できない壁もあると思います。理不尽だと思いますが……。


もちろん、いじめ対応としては、スクールカウンセラーとの親子での相談を始め(X先生には「利用するな」と言われましたが、そう言われたことも含めて相談しました)、家での長男のメンタルケア、ストレスケア、負担が大きな時期は学校への車での送迎や、通学路の見守りなど、私も長男が心折れない、つぶされないために、できる限りのことをしました。


また、当時は志望校が小学校での出席日数などを、評価の上でどのように扱っているのかが分からずに、うちではできるだけ欠席しないようにしていましたが、小学校での欠席が多くてもあまり気にしない学校もあるので、そういう場合は、つらい時は無理に行かせなくてもいいと思います(コロナ前後で状況も違うと思うので、相談会や説明会等で直接個別に確認したほうがいいでしょう)。


それから、もし、担任の先生が「中学受験に対して、理解があるかどうか分からない」という場合は、国公立中高一貫校の受検などで必要な、担任が記入する調査票などの提出が不要であれば、受験直前まで黙っておくのが無難だと思います(次男、長女の時はそうしました。結局どちらも受験に理解がある先生で応援してくれましたが…)。


それでも、当時の長男が「できない子」や「助けてあげる子」として扱われる環境から、「できる子」「助け合える子」として扱ってくれる環境にチェンジするためには、長男自身が真剣に勉強して、勉強以外の試練にも目をそらさずに厳しい現実に向き合って、頑張って、頑張って、「努力では乗り越えられないハズの壁」を力技でねじ伏せて、ど根性でぶっ壊すしかありませんでした。


こんなやり方は、誰にでもオススメできる方法、とは言えないけれど……(「とにかく頑張る」以外で壁を壊す別の解決法があるなら、そのほうがいいと思うし、私も知りたかったです)。


もし、似たような状況に置かれた親子さんがいたら……


「どうか、負けないで」


……こんなことしか言えないのが、本当に力不足で申し訳ないけれど……心の底から、応援しています。


 

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